私はミッキーです。何故でしょう?

私はミッキーです。何故でしょう?何故でしょう?

などと突然といわれても困るよね。ということで説明します、今すぐに。

ディズニーランドを始めとするシームパークで、ミッキーやミニーが絶対に喋らないのは、それは訪問者の夢を壊してしまわないようにという運営者側の配慮である。

なんで、ネズミの着ぐるみが絶対に喋らないことが、夢を壊す壊さないに関係するかというと、理由はこうだ。

父:お母さん、日曜日はタケルをつれてデズニーへでも行こうかね

母:あら、お父さん。嬉しい...

息子(タケル):ワギャン!!!!(気絶)

この会話からも分かるように、ディズニーランドに行くことは、普段の生活からの開放、ある意味逃避、ある意味白昼夢を見て、無能でわがままな上司や近所の口の悪い奥さん、幼稚園の番長やすぐ怒るママ先生などのことを一切合財全て忘れて、入場ゲートのところでいったんそういった重荷を肩から下ろして、非日常を楽しむという意味が込められている。

そんな非日常のを経験しようと、ガソリン代、レンタカー代、高速代、その他諸経費を払い、いざ入門したとたん、視界に入ってきたのは大きなネズミ。

ブォ!ブォ~!キャッ、キャッ!!と歓喜の雄叫びをあげながらネズミに向かって一直線にダッシュ、そしてジャンプしながら抱きつく我が息子タケル。体当たりの衝撃にふらつくミッキー。

大きくなったものだ。なぁ母さん。

そうですね、あなた...

とその時、ネズミが一言。

こら坊主、体当たりしたらオジサン怪我しちゃうでしょ。もっと握手とか、そっと近づいてきてフワッと抱きつくなどしないと駄目だよ。わかったか?

こんな反応をされてしまうと、一瞬で夢は砕かれ、ネズミの着ぐるみは無表情でどことなく不気味にさえ見えてくるし、ニコニコしながら道案内してくれた優しいスタッフの笑顔は営業スマイルに思えてくるからあら不思議。

といった諸般の理由から、ディズニーランドのキャラクターたちは、俺たちが殴っても蹴っても、声を出さないという。スタッフ一同、掃除夫から給仕、ボスから部下まで、訪問者に対し、非日常的な優しさかつ笑顔で接してくれるという。

左のようなことを一言で説明するとこうなる。

訪問者の期待にこたえるディズニーランド。

訪問者の期待とはモチロン、打倒上司!打倒近所のオバハン、打倒ガソリン価格高騰、打倒ママ先生といった普段の試練を忘れさせて欲しい、自分も羽目をはずしてファンタジーな世界の住人になりたい、そのためなら多少の金は払いまっせ、という期待である。

はて、ビジネスで成功を目指す私たちはここまでの話から何か学べるのだろうか。我輩が喋るのであるからモチロン、「空にSay Yes!」学べることはあるぜ。

といっても注意して欲しいのは、別にネズミの着ぐるみを着て、「ハロー、ハロー、アイアム・ミッチー!ミッチー・マウス!」などと言いながら手を振る、ビデオを撮ってブログにアップする、メルマガで集会を告知し集金するといった、風変わりマーケティングをしろ!とにかく目立て!と言っているのではない。

いったんミッキーのことは忘れて、先ほどの一文を思い出して欲しい。

訪問者の期待にこたえるディズニーランド。

そう、これだ。

実は先日、静岡県は沼津市、千本港へ行ってきたのだけれど、レンタカーを借り、念入りに下調べをし、朝4時に起きた俺は、アメリカで運転してきた癖で、ときどき車道を逆走する、ウインカーとワイパーを間違える、などしながら下の地図の上前半に位置する風船(甲府)から、下の風船(千本港)を目指してアクセルを踏んだ。

その日は朝から極悪雨だった。

雨でも何でもいい。海がない甲斐の国で育った俺にとって、港見学といえば一大イベント。つまり、日常からの脱却であり、打倒日常!打倒肩こり!カモン、ファンタジー!!!なのだ。そして俺は非日常的な世界を目指して、南へアクセルを踏んだ。

でね、到着するや否や事件はおきた。本日のメインイベントの一つ、競りが終了していたのである。

特別に階上に設置された回廊から、階下で繰り広げられる競りを眺め、ははん、あの人はなかなかお値打ち価格でマグロを落としたね、一方あの人は、妻に頼まれたホッキョクグマの肉片を予算内で落札できなかったんだね...ガンバレ!などと応援し、写真を撮る予定だったのに...

俺が駐車場でまごまごしている内に終了していた競り。まだ朝7時過ぎなのに早すぎ!!!

と不平を言ってみたけど、周りを見渡すと、港としての業務はどうやら7時前には既にそのピークを迎えているらしく、9時くらいに観光客目当てにオープンするお土産ショップが開店するまで、俺は海を見つめながら思った。

期待を裏切られた!!!

私はミッキーです。何故でしょう?私はミッキーです。何故でしょう?
ちなみに上にあげた写真の内、左側が空になってしまった競り会場であり、悲しみを打ち消すために眺めた海が右の写真である。

でもね、裏切られた!などという発言は、俺の一方的な物言いであり、自己中という物だろう。

自己中は嫌なので、御土産ショップが開くまでの間を散歩に費やし、千本松の中を傘をさしながら「この松は、よく松喰い虫にやられないね。がんばっているね」と呟いたり、小石がぎっしりと敷き詰められた不思議なビーチで海水をなめ「しょっぺ!」と吐き捨てるなどしてすごした。

小石の敷き詰められたビーチなんて見たことないでしょう?ということで撮って来たのが以下の写真。私がしゃがんでいるところは全て石。それから右は千本松公園。クリックして拡大写真を見て欲しい。名前どおりの迫力。

私はミッキーです。何故でしょう?私はミッキーです。何故でしょう?
楽しかった。時間はあっという間に過ぎ、そして9時。再び港へ向かった俺は、あはは、うほほ、いいねいいね、御土産ショップが開いている。

見ればアジの開き専門店が多いようで、その他マグロ専門店、魚介全般を取り扱うレストランなどが建ち並び、非日常的な雰囲気がいい感じで漂っているなぁ...

これでこそ来た甲斐があるものだぜ!と喜んだ。

打倒ストレス!打倒肩こり!カモン、ファンタジー!!!

そう呟きながら、小さな間取りの店をのぞいてみた俺は、驚愕の事実を知ることになる。そこには、俺が想像する「港の魚屋さん」の姿は無かったのである。

簡単にまとめるとこんな風だ。

  • マグロ販売担当のオジサンが嘘をつく
  • 販売担当の係員が相互に、関係のない話、特に人の悪口を大声で語りあっている
  • 口では有難うござります、のような事を言うのだけれど、顔は般若。良くてのっぺらぼう

詳しいことを書くと具合が悪くなるので自粛しますが、運が悪かったのか、その日覗いた数店もみな同じような感じであった。

これが港、つまり荒海で揉まれた荒くれ者たちによって管理運営される市場の実態なのか。俺の期待はベクトルが逆を向いていたということなのか。

こんなんだったら近所の店で幾らでも経験できるぜ。これじゃ日常そのものじゃないか!だまされた!

私はミッキーです。何故でしょう?たった数店を覗いただけなのに、この体たらく。そのくらい、期待が大きかったのだ。

港全体を、非日常なシームパークと勝手に考えていた俺が悪いといえば、悪い。ごめん。

悪いことは続くものである。

非日常を求め、ファンタジーを求め、最後の望みをかけて入った店では、アジの開きがカチンカチンの冷凍で売られていた。

不思議に思った俺は店員さんに「これは、冷凍で売るのが普通なのですか?」と尋ねれば、少しのスペースを置いてから、かったるいなぁ...という雰囲気で「...はい、なぜなら、冷凍で売れば観光客も家に帰るまで新鮮に保存できるから、持ち帰りに便利でしょ、という配慮から冷凍です。」といった返事。

俺は、それは少し違うのじゃないか、と思った。俺が期待しているのは、漁港だからこその新鮮なアジの開きであって、前日から引継ぎされた冷凍アジなんて求めちゃいないのです。

もっと言えば、期待していたのは「はいはい、お客さん!このアジは新鮮だよ。マジで新鮮だから冷凍なんてしないで、一気に食べちゃってよ!!!」というキャッチコピーであり、実際、長年にわたる街頭セールスで鍛えられたダミ声でそのキャッチコピーを言われたら、俺などマジで秒殺なのにな、本当に残念だ...神も仏もいなんだ...と空を仰いだ次の瞬間、奇跡は起こった。

まさに俺の期待通りのダミ声で、「はいはい、いらっしゃいよ!当店のアジは新鮮だよ!1週間は冷凍しないで食べてよ。新鮮さを楽しんでよ」という天使の声が聞こえてきたのである。

振り向けば、そこには長靴、番号札のついた帽子、適度に薄汚れた作業着といった、今まさに船を降りました的なコスチュームに身を包んだ、おやっさんが店開きをしていたのである。

コレだよねこれ、とほくそ笑みながらおやっさんに話しかけ、そして気がつくと目的以上の魚介類をゲットし、ニヤつきながら帰途についた俺がいた。

おやっさんの顔がミッキーマウスに見えたのは、単にネズミっぽい顔をしていたから、という理由だけではないと思う。

訪問者の期待にこたえるディズニーランド。

買い物は多くの場合エンターテイメントだと思う。特に趣味、嗜好品を扱うビジネスの場合、お客さんが映画を見る時に、遊園地に行く時に、DVDを借りる時に何を期待しているのかを考え、その答えを自分のビジネスに活かそうとする努力は、とても有効なエクササイズだと思う。

お客さんが一生懸命働いたお金を自分のショップで使ってくれる時、その期待に十分応えられるネットショップに、否、その期待を大きく上回れるネットショップになりたいですね。

清水勇二

追伸:いつも俺の運転を心配してくれるみんな、事故もなく無事帰宅しました。ありがとう、ありがとう。下の写真は、地獄雨の中、楽しいドライブを感謝するために参拝した三嶋大社での一枚。参拝が終わると同時に雨は上がった。

私はミッキーです。何故でしょう?大雨中、三嶋大社参り...趣き良し


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