時は2007年3月。その扉をくぐりさえすれば、楽園が待っているはずだった。
ネットショップを始めようと思ったのは、新しく配属された部署の上司が2歳年下で、かつ俺に対して理由無き暴挙を繰り返したから、だけではなかった。
確かに、クレーム対応ばかりを人に押し付けて、俺のウェブデザイナーとしての手腕を全く評価することなく、最後の半年などは外回りばかりで会社でパソコンを開くのはメールチェックとクレーム対応の時だけ。
ドリームウィーバーもフォトショップも、使い方を忘れちゃうほど、俺は門外漢な仕事ばかりを強いられた。俺の肩書きはウェブデザイナーだったのに。悔しかった。
もし暗い路地で上司が一人で歩いているのを見かけたら、後ろからそっと近づいて思いっきり延髄蹴りを食らわせてやろう、ウンそうしよう!などと思っていたのだけれど、別に上司が嫌だという理由だけで会社を辞め、そして退職金をつぎ込んでネットショップに「逃げた」わけではなかった。
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ペンシルヴェニア州はフィラデルフィアでサマースクールに通っていたころ、地下鉄が俺の脚だった。甲府には地下鉄などないし、電車だってそれ程乗ったことが無い田舎モノの俺は、毎日を興奮して過ごした。
周りから見たら、鼻の穴を大きく広げ、興奮で顔を真っ赤にした長髪アジア人(俺)が、キョロキョロしながら窓の外を流れ行く景色に心奪われるその姿は…そう、まるで狂人。
「夜の地下鉄は危ないぜ」と言われつつも、何の事件も起こらずシアワセな日々を過ごせたのは、俺自身が「危ない」存在だったからかしらん。
などと思い出話をしながら昆布茶をすするには、俺はまだ若いぜ!!!
そんなフィリー(フィラデルフィアの愛称)の地下鉄で、若き日の俺のハートに強烈な印象を焼き付けた広告があった。
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ハローハロー、ねぇ、そこのキムタクにそっくりなお兄さん。カッコいいね。クールだね。(ニコリ)
と、図書館の休憩室でたこ焼きを食べていたらば話しかけられた。
振り向けば、足元に衣類がぎっしり詰まった透明のビニール袋を携え、テーブルの上には食パン一斤と中華料理関係のレシピ本を置いた男性が一人。笑顔で。
年のころは50後半だろうか。男性は続ける。
お兄さん、本当にカッコいいね。優しそうだ。うん。俺なんて脚を怪我してからというもの、不運続きで、食べるもんも困っているんだよ。
昔は中華料理のコックをやっていたんだけど、怪我でね。国も助けてはくれないから、今はこんな風なんだよ。
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ショップが売れない...だからやる気がでない。
お客さんが来ない...だから作業する気になれない。
もっと売れたら...モチベーションもアップするのに!!!
と信じている派と、
やる気満々で、楽しく作業することで、売れるショップができるんだ!
作業すればするだけ、結果として現れるはずだ!
モチベーションをアップできるのは、そう、この俺、俺自身であり、
ハイ・モチベーションを保つことで、初めて売れるショップ作りにも精が出せるというものだ!
と信じている派がある。どちらが正しいのかは知らんけど、成功した人達の歴史を読むと、後者が圧倒的に多いことに気がつく。
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お世話になります。ご注文代金の振込み口座名義ですが、ビツクリハウスダイヒヨウタケダトチマルでお願いします。最近入力ミスをされるお客様が多いので、特に注意してくださいね。

などとショップからメールが届いたのだけれど、この口座名、長くねぇ?というか暗号?
という風に、迷って戸惑って、最終的に、面倒だからやっぱり辞めた。注文キャンセルしちゃおうっと。ということが時々ある。
だって僕、色々忙しいし、私的にも公的にも色々面倒なことを抱えているんだもん。
同じものがもっと楽に買える店が他にあるんだから、そっちで注文しようっと...
という風に、最後の最後で注文を諦めたくなる、なんてことが、僕には時々あるんだ。
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