あのぉ、これで僕は本当に安全なのですか?

あのぉ、これで僕は本当に安全なのですか?

恐くて、恐くて、もう前進も後退もできないという状態に、進んで自分を追い込むしか、自分に正直に生きる道はない!!

船を全て焼き払え!逃げる手段を絶て!勝利以外に生き残る術を残すな!!!

とにかく目立て!人の心を動かせ!その他大勢の中から飛び出せ!!語られる存在になれ!!そこがスタート地点だ。

などと、夜中の荒川土手で叫んでいたら、寂しくなった。

トランペットの練習をする兄ちゃんが、心配そうに俺を見ている。星は輝き、月は俺に向かって優しい光をそそいでいる。

こんなところでこんな時間に俺は何をしているのかと言うと他でもない、中央自己啓発センターで学んだニュースキル、「雄叫びモチベーション・ダブラー」を実践しているのだけれど、なかなかモチベーションがダブル(二倍)にならないで困っているのデス。

声の大きさが足らないのか、読むページを間違えているのか、それとも、ダブルになっても足りないくらい、俺のモチベーションはもともと低いのかしらん。

などと悩んでいたら、急に丘上の教会が騒がしくなった。真夜中のミサを終えたばかりの人々が教会から出てきたのだ。

目立つのが苦手な俺は、ひざの上のカンペンとメモ用紙をバックパックに放り込み、「モチベーション・フレーズ集2008:スーパー」を大事にお尻のポッケに差し込んだ。

出る杭は打たれると言うけれど、出ない杭は存在する意味が無い気がする。つまり、何かしら人の心を動かす要素が無ければ、物事は存在する意味さえないのではないか。

俺以外の誰かでも代用できるようなことなら、やっても意味がないし、それでいて、誰かに発掘してもらえますように~などと祈って待つなんて阿保臭い。そんなんじゃまるで、

「誰も俺たちを発掘してくれない!なぜメジャーレーベルから電話がかかってこない!」

などと不平不満を言う割りに、何もマーケティングらしきマーケティングをせずに、月1でライブして作曲してデモテープを作って友達に配布してを繰り返すだけの自己満バンドのようじゃないか。

明け方のマクドナルドに入り、お気に入りの席についた俺は、お尻のポッケから「モチベーション・フレーズ集2008:スーパー」を取り出した。「今の俺に必要なメッセージをください!」と祈ってからページを無造作に開くと、こんな言葉が書かれていた。

素晴らしいことが起るときってさ、決まって「自分の安全領域を出たとき」なんだよねぇ。
by 手長おじさん

俺は、そんなことは分かりきっている、と思った。が同時に、果たして本当に分かっているのだろうか、と考え直した。

(考え直すことが出来ることが最近の俺の自慢)

ウィンドウ越しに始発を待つらしきカップルが肩を寄せ合いながらホームのベンチに腰掛けているのが見える...

そういえば彼女が出来たときも、希望の仕事をゲットしたときも、留学も、英語も、一生の友も、全て、自分の安全領域から飛び出し、恐怖と戦いながら、普段の自分ならぜってぇーしねぇーようなことに、無理やりチャレンジした結果、得られたものだった。

そんでそんで、今の自分の体たらくな要素を第三者の視点で分析するとどうなるだろう。

(第三者の視点で自分を分析できることも最近の俺の自慢だ)

夢も目標もゴールもある。あるけれど、それを達成するのに必須な作業、つまり安全領域から出て、恐くて恐くて仕方が無い状況に自分を置くことをしていないじゃないか。

それどころか、出来るだけ新しい人には会わずに、町でも人ごみを避け、職場のカフェテリアでも隅のほうに座り、廊下で同僚に会えば突然、携帯を耳に当てたりしてしまう。

ああ、素晴らしき安全領域。予測可能な心地の良い毎日。誰も僕の心を乱すことはできない。うふ。

って、おいこら!手前ぇ、つまり俺、何を恐がってやがるんだ!!!予測可能な生活で夢を達成できるとでも思っているのかい?知人縁者の誰も達成していないその夢を、今の生活のままで成し遂げられると、マジで信じているのか?!

っざけんなよ!手前ぇ、つまり俺。箱から飛び出して、行った事の無い場所に行かなきゃ、会った事の無い人に会わなきゃ、やったことの無いことチャレンジしなきゃ、「素晴らしいこと」なんてぜってぇ~起こらないんだぜ!それはお前の過去が証明しているだろぉが、このぼけぇ!!!

...そんなこと言われても、動けないんだからしかたないだろ!

だまれタコ!動け!チャレンジしろ!箱から飛び出せ!恐いことにこそ意味を置け、ぶっころす!

ちょうど鼻の辺りを境に脳味噌が分割され、右と左が大声で喧嘩を始めてしまった感じに戸惑う俺。天井からその姿を見守る俺、更にその姿をその上から見守る俺、更にその上から見守る俺、更にその上から見守る俺、更にその上から見守る俺、ぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるるぐるぐるぐるるるる...と眼が回って気絶する俺。

目覚めると社員寮の自分の部屋、ちょうど山上村部長が玄関から入ってくるところだった。いつもの作業着ではなくスーツ姿だ。

お、おはようございます、部長。

何だ今起きたのか。

ホイッ、いや、ハイっ!今起きました。

今日は大事な日だというのに、何で君はギリギリまで寝てられるの?信じられない!といった内容の愚痴を言われながら、何の日だっけ?と考えても思い出せない。ポカンとしている俺の顔から察したのか、お前忘れちゃったのね、仕方ないなぁ...早く外に出て見ろ、もう来てるから、と般若顔の部長。

何が来ているのだろう。サーカス?フェスティバル?それともカーニバル?期待に胸を膨らませながらツッカケ姿で外に出れば、そこには二機のレーザー砲が。

ほら、これで僕たちはもう大丈夫。と胸を張る隊長。何だかよく分からないけど、これで現状維持ができるなら素晴らしいな、と胸をなでおろす僕。

ああ、素晴らしき安全領域。どんなことをしてでも、守り続けたい。

安全領域で生活しよう!株式会社
カスタマーサポート2課
驚木 シンペイ


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